どうも、ハマちゃんです。今日はサヨリについて解説します。
❶サヨリの生態について
❷サヨリの有名産地
❸サヨリの名前の由来
目次
【細魚】サヨリの仕込み
寿司屋ではサヨリが旬と言われる春の時期に寿司や、刺身にして提供することが多いです。そのサヨリを提供するまでにどんな工程を経ているのかを詳しく解説してみます。
呼び名
出世魚というわけではありませんが、大きさで呼び名が変わり、10cmほどの小型のものを「エンピツ」
、30㎝以上の大型のものを「カンヌキ」
と言ったりします。
・閂(かんぬき)とは左右の扉もしくは扉と枠の双方に跨る様に通す事で建具を開かない様にするための棒状の金物や木材などの部材。
・城やお寺の門などに刺さっている木のつっかえみたいな物。
「エンピツ」と比較して、それぐらい太い事から「カンヌキ」と言う。
またサヨリは「海の貴婦人」と呼ばれるほどに見た目は綺麗な姿
をしていますが、サヨリを捌くとサヨリのお腹の中は真っ黒
です。これはサヨリの習性が関係しており、サヨリは海面近くを泳ぐ為太陽光から内臓を守るためにお腹に黒い膜がはっているのです。
このサヨリのお腹の黒い様から腹黒い人を「サヨリのような人」という事があります。これはサヨリのように外見は良いけども、腹の中は真っ黒・・・という意味で使われます。
サヨリの生態について
まずはサヨリの生態や旬についてまとめていきます。
分布
北海道以南から台湾にかけての北西太平洋、日本海、韓国の西側の海(黄海)、中国の海域である(渤海)の比較的陸地に近い海域
に住み、群れで行動します。
海面すれすれ
を泳ぎ、動物プランクトンや浮遊する海藻の断片を餌にしています。身に危険が及ぶと海面から飛び出し、ジャンプする事もあります。
また、サヨリの仲間(クルメザヨリ、センニンサヨリなど)には淡水域で生活できる物もいますが、サヨリは汽水域までは進入するものの純淡水域にまでは進入しません。
センニンサヨリは日本では小笠原諸島、九州、南西諸島と比較的温暖な海域に多い。
センニンサヨリは普通のサヨリより下顎が短く、体が少し丸っこい形をしている。
産卵期
4月中旬から8月中旬
が産卵期で、陸地に近い海域に生えた海草や海藻の群落に卵を生みつけます。
卵のサイズは2.2ミリと割と大きいです。孵化してすぐの全長は7㎜程度で、2〜3㎝くらいになるとサヨリの特徴の一つでもある下顎が伸びてきます。
稚魚の段階での下顎は体長と比較すると長いですが、成長と共に体の他の部分が大きくなっていきます。全長27センチメートル程度になると、ほぼ成魚と同じプロポーションになります。寿命は2年程度
と言われています。
旬
サヨリの旬は産地によって様々ですが、一般的には春が旬
だと言われています。と言うのも春の時期に多くの産地で水揚げされる為、春の時期の需要が高まるからです。
特に秋口から春にかけて需要が高まります
が出始めの秋の時期は水揚げされる良品の数が少ない為か、高値で取引される傾向にあります。取引価格で言うと11月から12月にかけてが年間を通しても高値がつく印象です。
また脂の多い魚ではない為、時期的な物よりもサイズが大きい物が重宝されます。
サヨリの有名産地
サヨリは北海道から九州まで生息する魚です。日本列島は多種多様な潮の流れや海流、海水温と同じ時期でも差が生まれるため、産地によって旬の時期が異なります
。これはサヨリに限ったことではありません。
前述しましたように春と秋口に需要のあるサヨリですが、春の時期3~5月は石川県、広島県、兵庫県。
秋口から春先にかけて千葉県や東京、宮城県など
で漁獲量が高まるようです。
上の画像は豊洲市場においての過去2年間のデータと過去5年間の平均取扱数量をまとめたグラフです。グラフからもわかるように、秋口の11月頃から取扱数量が増え、春の4月頃のピークを境に量が減っていきます。
こういうグラフをもとにどの時期に需要が高まるかや、どの時期に旬を迎えるかなども分かりますので参考にしてみてください。
サヨリの名前の由来
「サヨリ」は大昔は「ヨリトウオ」
と呼ばれていたと言われています。
「ヨリト」とは「より糸」が短くなったもので、サヨリの卵が糸状に繋がっていることから、大昔の日本人が「ヨリトウオ」と名付けたのだと言われています。その後、「狭く長い」という意味の「サ」と「ヨリトウオ」の略称「ヨリ」で「サヨリ」となった説があるようです。
漢字表記で古くは「針魚」とされていましたが、今では「鱵」「細魚」という表記が使われています。
・「鱵」は魚へんに「箴:はり」。もともと中国でサヨリの事を「箴魚:しんぎょ」と言われていた為、この漢字が生まれたと言われている。
・細魚は細長い体の特徴から。
サヨリの処理と仕込み方
文章で説明してもあまりわからないかもしれませんが、参考までにサヨリの下処理から捌くところまでも説明しておきます。
水洗い〜捌き
- 腹についている小さい腹びれをとる。
- 包丁で細かい鱗をとる。
- 頭を落とし、お腹の中の内臓を取り除く。
- 骨ぎしについた血合に包丁を入れ、お腹の黒い膜を取り除く。
- 水気を綺麗に吹き上げる。(お腹の中も)
- サヨリを捌く。(大名おろし又は腹開き)
- 骨を抜く。
仕込み方
あくまで僕個人の仕込み方なので参考までにですが、せっかくお寿司にするのならやはり一手間かけて寿司ダネにします。
もともと水分量の多い魚ではありませんが、塩と昆布を使って締め脱水してあげます。そうする事で、身がしっかりするので程よく食感とサヨリらしい香りを引き出す
事ができます。
- 骨を抜いたサヨリにかる〜く塩をあてる。※1〜2分
- 3%の塩水で塩を洗い流し、新しい塩水でさらに2分締める。
- 表面の水気を軽く拭き取る。
- 白板昆布を身側だけに貼り1時間〜2時間締める。
①身が薄いためあまり強く塩を当てすぎるとサヨリの良さが損なわれるので気をつける。
②日が経つと干物のような匂いが出てくる為、当日使用する分だけ仕込む。
③真昆布は使わない。※水分を持っていかれすぎてパサつく為。
白板昆布
せっかくなので白板昆布という昆布をご紹介しておきます。
白板昆布はわかりやすく言うと、バッテラの上に引かれていたりする薄い昆布です。あの昆布はバッテラ用に酢に浸して酢昆布にしていますが、白板昆布は酢に漬ける前の状態のバッテラ昆布です。業界では「バッテラ昆布」とか「テラ昆布」などと言われます。
真昆布をお酢で柔らかくして再度乾燥させて寝かした物が職人さんの手で削られ、おぼろ昆布や白とろろ昆布に加工されるのですが、白板昆布はその削られた昆布の残りです。
大阪住吉小倉屋さんがその製造方法・職人さんが手作業で加工している様子をYouTubeにアップされていたので、引用させていただきました。
動画の最後に残った黄白い物が綺麗に板どりされ白板昆布になります。こうやって製造工程などを見ると改めてこういった職人さんや、漁師の方々などの苦労があり僕たち寿司職人の仕事が成り立っている事が身にしみてわかります。
サヨリの仕込み:まとめ
サヨリについてまとめてみました。なかなか家庭で扱う事はないかもしれませんが、美味しい魚ですのでぜひ食べてみてください。
ではまた。