【海鰻】海うなぎとは?値段や特徴を解説

豆知識



通りすがり
うなぎって川で獲れる物だと思ってたけど、海うなぎって言う海で獲れるうなぎもいるってほんと??

どうも。ハマちゃんです。今日はあまりメジャーな食材ではありませんが、うなぎはうなぎでも海で一生を過ごす“海うなぎ”について解説します。

《海うなぎの特徴》
❶有明海、瀬戸内海での水揚げが多い。
❷川のうなぎとは餌が異なる為、身質も全く違う。
❸数が少ない為、上物の需要が多くかなり高値で取引される。

【海鰻】海うなぎとは?特徴の掘り下げ

前述した海うなぎの特徴をそれぞれ掘り下げていきます。

有明海、瀬戸内海での水揚げが多い。

正直この情報は実績からの情報なのであくまでも僕個人の見解です。やはりうなぎと言えば夏の“土曜の丑の日”。日本では夏場の暑い時期を乗り越えるためにも、栄養価の高いうなぎを食べて夏バテを防ごうと言う願掛けから日本人の習慣になった物です。

ですので、僕たち寿司屋含め飲食店はこの時期にうなぎを食べたいと思う心理の通りにこの初夏〜夏にかけてうなぎを提供する事が多いです。話を戻しますと、実際に5月〜7月に仕入れをした中での産地が有明海付近のうなぎ(熊本県天草)と、瀬戸内海からのうなぎ(岡山児島湾)のどちらかしかなかったのです。

上記の根拠をもとに海うなぎの水揚げが多いのはこの2つの地域だと考えます。うなぎは産卵シーズンになると暖かい海に戻ります。

この事から実績はありませんが、時期によっては水揚げ量の多い産地も変わってくるのではないかと思われます。また、夏によく食べられるイメージですが、脂がのるシーズンは夏場ではなく晩秋から冬にかけてだと言うこともわかっています。

川のうなぎとは餌が異なる為、身質も全く違う。

言うまでもなく、住処が違えば餌も違います

川うなぎは川魚を始めカエルやミミズ、藻類などを捕食するのに対して、海うなぎはエビやカニ、シャコなどを餌にして成長すると言われています。

質の悪いうなぎの中にはゴムみたいに気持ち悪い食感をしたうなぎがいますが、海うなぎの身は弾力があり、焼き上げたときの皮もパリッと香ばしく焼けます。身自体に変な臭みやクセもない為、食べやすく食べ応えのある身質をしています。

数が少ない為、上物の需要が多くかなり高値で取引される。

昔はうなぎ自体の数も多かった上に、海うなぎ自体に注目が集まることもあまりなく、そんなにべらぼうな値段ではなかったそうです。それが近年のうなぎの減少と海うなぎの美味しさに気づいた職人さんたちが増え、年々値上がりしています。

今一緒に働かせていただいている親方の話によると、少し前までは今の半値以下で入っていたとの事。今豊洲市場での仕入れで(産地は熊本県天草)仕入れ値がkg24,000です。仕入れていた海うなぎのサイズは500〜700gとかなりの大型の物を仕入れておりましたが、おつまみとしてお出しするのに十分なサイズでカットをすれば、よくとれても1匹から4人前〜5人前です。

kg24,000の仕入れ値で500gのうなぎで5人前をとると、原価で2,400円です。高級店でしか扱えない代物だと言う事がよくわかりますよね(^^;

海うなぎの特徴(生態)

海や川、湖などうなぎについては色んな産地や環境ごとに試験や、調査などが行われており、様々な情報があります。うなぎの生態はかなり特殊でサケなどとは真逆で“降河回遊型”と呼ばれる行動をします。

ここではその他、うなぎが好む生活環境や特性などもご紹介します。

“降河回遊型”って?

前述しましたように“降河回遊型”のうなぎは、海で産卵し成長しながら川に戻ってくる。そしてまた産卵の為に海に戻る。そんな行動をします。鮎などが同じ降河回遊型の魚にあたります。

うなぎは一度住処を見つけると定着性が強い

うなぎは定着性が高いと言う調査結果が出ています。と言うことは、住み着いた場所によってかなり個体差が現れてくると言えます。その場所の餌になる生き物がなんなのかによってうなぎの味も魚体も変わってきます。

住みつくには身を隠せる環境が必要

うなぎは砂や泥の中や水草、コンクリートや石の隙間などに身を隠して生活します。結局そういった住処となるような場所があるところでないとうなぎはいません。海の中でもそういった岩影や、藻がたくさんある場所等の環境が整えば住処とすることもあります。

うなぎの鼻は犬並みに敏感

ある実験からうなぎは河川の水に含まれる匂い物質を選別でき好むとされています。それは発育段階によらずどのうなぎもその特徴を持ち合わせています。このうなぎの嗅覚は犬並であると言われています。要はうなぎは川の水を好むと言うことです。この表はその実験の結果を参考に表にしたものです。

シラスウナギ(うなぎの子供※透明)黄うなぎ(成長段階のうなぎ)
河川水(塩分あり)選好選好
自然海水××
河川水(塩分あり)×選好
河川水(塩分なし)選好×
※ ×印は選好しなかった

前述したように発育段階によらずうなぎは好んで河川の水を選びます。

しかし、塩分への選好性で言うとシラスウナギの段階では塩分への選好はないのに対し、黄うなぎは塩分への選好が見受けられたのです。

要するに海で生まれたシラスウナギが来遊段階でシラスウナギから黄うなぎへと成長すると、塩分への選好性が変化し河川へ遡上せず、海水域である海に留まる海うなぎが誕生するという事です。

実験結果の内容を下記サイトから参考引用

「河川及び海域での鰻来遊・生息調査事業」 平成28年度 報告書https://www.maff.go.jp/j/budget/yosan_kansi/sikkou/tokutei_keihi/h28itaku/h28ku_seika_ippan/attach/pdf/h28taku_seika_ippan-162.pdf

海うなぎの特徴(まとめ)

どうでしょうか。海うなぎの特徴が少しお分かりいただけたかと思います。

貴重な食材の為、安い食材ではありませんが食べてみる価値はあります。ぜひ、海うなぎを取り扱うお店を探して食べに行ってみてください!!

では、このへんで。