どうも、ハマちゃんです。今回は貝類の中でも「赤貝」について解説していきたいと思います。
❶赤貝の生態と習性
❷なぜ赤貝の数が減っているのか
❸赤貝の有名産地と旬の時期
目次
【寿司】国産赤貝の産地と旬【超貴重】
貝類の中でも代表格の寿司ダネです。近年はなかなか良い赤貝に出会える機会が少なくなって来ており、安価に手に入る中国産・韓国産の赤貝に頼りきりのイメージです。
良いものが手に入りにくい高級寿司ダネの一つですので、低単価のお寿司屋さんではなかなか良いものが出てきません。そこで今回は赤貝の生態などを深掘りして、赤貝の特徴を記事にしていきます。
まず赤貝がどんな見た目の貝か。むき身になった状態の物はみたことがあるけど、貝殻がどんな形をしているかわからない人の為に載せておきます。
これが貝殻付きの赤貝で、下の写真がよく見るお寿司になった赤貝の写真です。
名前の由来にもなっているこの色味が特徴です。
赤貝の生態と習性
では、本題に入っていきます。まず赤貝の生態について。
写真を見ていただくとわかるように、放射状の模様の入った(放射肋)比較的厚めの貝殻に覆われており、大きい物だと10㎝以上に成長します。孵化して2年程で成体となり大体4、5年で10㎝くらいまで大きくなるようです。
分布
北海道南部〜九州沿岸の穏やかな湾内に生息しており、水深5〜50mの砂泥に潜って生活しています。
赤貝は泥に潜るとき、足の中央からでたビニール紐のような足糸(そくし)を使って、海底の異物などに体を固定します。赤貝には水を吸い込む水管がないので、貝殻にひっついているヒモを使って水の入口と出口をつくり、吸い込んだ水でエラを洗いながら呼吸し、同時に水中の有機物やプランクトンを粘液にからめて、口に運んで食べます。
この時深く潜ってしまうと呼吸やエサをうまくできなくなる為、深く潜りません。
後ほど詳しく触れますが、宮城県や愛知県、大分県などが有名な産地に挙げられます。
産卵期
晩春〜夏にかけて、海水温が上昇し始める頃に産卵期を迎えます。
生息域の水温がある一定の温度に上昇すると、産卵期に入るようです。その為、生息する場所(産地)によって産卵期は多少ズレ、美味しく食べれる季節にもズレが生じます。
赤貝に限らず貝類の美味しさを語る上で「産卵期がいつか」が重要になってきます。それはエサを食べても、卵に栄養を持っていかれてしまうからです。産卵するのにかなり体力を消耗するので、どんな魚介類でも同じことが言えますが産卵したての物は味が落ちます。
赤貝の血は赤い
一つ大きな特徴として挙げられるのが「赤貝の血」です。
多くの貝はカニなどと同様に銅を含んだ青い血をもちますが、貝類の中では珍しく血液に人間と同じ「ヘモグロビン」を含んでいます。その為、貝を開くと赤い血が流れて出てきます。
名前の由来もこの特徴の通りです。
赤い血は酸素を運ぶ力が強く酸素欠乏にも耐える力があるので、プランクトンなどの有機物の大量発生による酸素欠乏などの影響を受けることが少ないそうです。同じく高級食材として名高い「とり貝」などはこの酸素欠乏などが原因で死滅することが多いです。
プランクトンなどの有機物が大量発生すると、そのプランクトンなどが海水中の酸素を消費してしまう為、海水中の酸素濃度が下がってしまうことがあります。
少しグロテスクにも見えますが、この血が赤貝ならではの「香り」を守る上で重要なのです。
なぜ赤貝の数が減っているのか
ここからは近年の赤貝の漁獲量の減少について解説していきます。
赤貝が減少傾向にある要因は大きく3つあり、1つ目は沿岸域の埋め立て、2つ目は地球温暖化による海水温上昇、3つ目は水質の悪化と言われています。
沿岸域の埋め立て
まず沿岸域の埋め立ては、赤貝に限らず多くの魚介類に何かしらの影響を及ぼしています。
かつては東京湾、大阪湾などの主要都市沿岸でも多くの魚介類が存在していましたが、今やその姿が見られることが珍しいと言われる魚種が増えています。大阪湾では昭和40年代には年間8000トン以上の漁獲量があり、各地に種苗として販売していたこともあるようですが、最近では漁獲が少なくなっています。
埋め立てによる住処の減少や水質の悪化は赤貝の資源減少に物理的要因として大きく影響を及ぼしていると考えられます。
地球温暖化による海水温上昇
前述したように赤貝は低酸素の環境には比較的強い種類ではある(他の種と比較した場合)のですが、高水温には弱く水温が27℃を超えると生き延びることができないそうです。
また地球温暖化や、異常気象による多量の降水などの影響によって起こる海水の低塩分化によるへい死も研究によって解明されています。海水の塩分濃度が下がる(様々な要因による)と、呼吸やエサを食べるといった活動がうまくできなくなる事がわかっています。
水質の悪化
水質の悪化は言うまでもなく、人間による海洋汚染が原因となっています。
誰を責めれる事でもなく国をあげて対策を打ち出し、人間1人1人が考え意識する他ありません。人間による海洋汚染によって多くの生物や環境に影響を与え、自分たち人間にも影響が出ています。
海洋汚染は有害な物質が人間によって海に流出させられたり、下水などを通って海へ流されたりすることによって起こります。このまま海洋汚染の対策を行わなければ2050年には海洋に住む魚などの生物よりもごみの方が多くなると警告されており、各国が対策を打ち出し取り組みを続けています。
今特に問題となっているのが海洋プラスチックごみです。
日本でも今年からレジ袋の有料化などが進み、話題となりました。自分たち人間が出すペットボトル、ビニール、などプラスチックを主としたごみが海に流れ込み、海洋生物、そして海洋の環境に影響を与えています。
難しいことは分からずとも、個人が意識できる1番簡単な事から意識してやっていきましょう!
赤貝の有名産地と旬の時期
ここからは赤貝の話に戻し、有名産地とその旬についてまとめていきます。
宮城県 閖上(名取市)
赤貝といえば、閖上(ゆりあげ)です。日本最高級の産地でブランド物として扱われています。
この閖上が日本一の赤貝の産地である所以はその恵まれた自然環境から赤貝がエサとして摂取するプランクトンが豊富で、さらに北の冷たい海により赤貝が繁殖しやすい環境が整っている事が要因と言えます。
豊洲市場でも最高値で取引されているようです。大体kg5000円ぐらいにはなっていると思います。大きい物になるとその分値段も張りますが、大体寿司屋が好むサイズは大きくても150gほどの物です。
旬はやはり冬の寒い時期によく出回ります。
大分県 中津市
大分県は赤貝の養殖などを行っていたこともあるようです。養殖場となるほど、自然豊かでエサも豊富な為オンシーズンでは閖上に次いで市場でよく見かける産地となっています。
閖上産の赤貝に負けず劣らずの知名度と人気があります。
旬は冬場(10月から1月)の寒い時期に底引き網漁により漁獲されます。
山口県 宇部市(周防灘)
山口県宇部の赤貝も数少ない国産赤貝の水揚げ場として有名です。
閖上と同じシーズンであれば閖上じゃなければ宇部か、大分か。と言うぐらい国産赤貝を引っ張ってくれている産地の一つではないでしょうか。
先日(2020/12/10)、宇部の赤貝を仕入れてみましたが、この時期はまだ身が薄くインパクトに乏しい感じの状態でした。もう少しシーズンが進めば必ず良くなってくると思うので期待して待ちたいと思います。
旬はやはり真冬の1月〜産卵期に入る手前くらいまでかと思われます!
愛知県 三河湾
三河湾(みかわわん)は、愛知県にある渥美半島(南東側)と知多半島(西側)に挟まれている湾です。
外洋に触れておらずプランクトンのエサとなる養分が豊富な為、天然の畜養場と言われており、赤貝だけでなくとり貝などその他の貝類の産地としても有名な産地です。
旬の時期は少し外れており、春先〜夏場にかけての需要が高いようです。
【寿司】国産赤貝の産地と旬【超貴重】
今や市場に出回る9割が外国産と言われている赤貝ですが、やはり国産の赤貝は「色ツヤ、香り、旨味」このあたりが一味違います。
少し高い食材、寿司ダネではありますが、機会があればぜひ食べてみてください。