【危険】フグ毒について【テトロドトキシン】

豆知識



どうも、ハマちゃんです。今回はフグの毒について解説していきます。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶フグ毒「テトロドトキシン」について
❷なぜフグは毒を持つのか
❸フグの種類および種類別の可食部位

【危険】フグ毒について【テトロドトキシン】

冬になると日本料理に限らず、フグを使った料理の提供が増えてきます。

フグと言えば、てっさ・てっちり。その他唐揚げにしたり、焼いたり、白子を食べたりと毒に気をつければ食通の舌を唸らせるほどの魅力を持ったお魚です。

しかし、フグが持つ毒「テトロドトキシン」は猛毒の代表格である「青酸カリ」の500〜1000倍の毒性があると言われており、容易に食べることのできない食材の一つでもあります。

そこで今日はフグの毒について詳しく解説していきます。

フグの持つ毒について

まずお伝えしておきたいのがフグの知識のない方の調理、または調理された物を食べることは絶対にしてはいけません。フグの毒は簡単に人の命を殺めてしまうほどの殺傷能力があり、その毒を分解する特効薬も解毒薬も存在しません。

ですので自分の知識力を過信せず、しっかり特定の免許を持ち知識を持った方のフグを食べてください!!

では本題に入りますが、フグに毒があることはおそらく多くの人たちが認識されていますが、フグの種類によって毒を持つ部位が違うことはあまり知られていません。

フグは種類ごとに毒を持つ部位が異なり、個体差、季節や海域によっても毒の強弱が異なると言われています。

まずはそのフグ毒について、又フグがなぜ毒を持つのかに触れていきます。

フグ毒「テトロドトキシン」

フグ毒のおおよそをしめる毒素は「テトロドトキシン」です。「テトロドトキシン」は神経毒の1種で、無味無臭、無色。人体に入ると神経伝達を狂わせ、身体のあらゆる部分に麻痺を引き起こし、最悪の場合呼吸困難となり命を落とすこともあります。

この「テトロドトキシン」はフグが生まれながらに持つ特性ではなく、海洋細菌ビブリオなどの細菌がフグのエサとなるヒトデや貝、エビなどからフグの体内に蓄積・増殖しテトロドトキシンが発生します。

テトロドトキシンの厄介な点は熱に対する対抗性が優れている点です。軽く火を入れるぐらいでは分解されず、6時間かけて煮沸してようやく分解し始めるぐらいの対抗性を持っています。

前述もしましたようにテトロドトキシンに対する特効薬も解毒剤もないため、摂取すれば必ず中毒になります。 

なぜ毒を持つのか

なぜフグが毒を持つか。様々な研究がされているようです。

フグの無毒化への研究段階で、フグに毒は必要なものだったと言う研究結果が出されています。

フグの無毒化

前述しましたが生まれたてのフグは体内に毒を持っていません。

しかし、成長する過程で餌から細菌が体内に蓄積し、毒が発生します。その為、同じサイズのフグだからと言って同じ量の毒を持っている訳ではなく、産地や季節などにより毒をどれだけ持つかは変わってきます。

逆を言うと、細菌の入っていないエサを食べれば毒を持たないフグが育つと言うことになります。

そこで無毒のフグを育てる養殖の取り組みが始まり、実際に無毒のフグを育てることに成功しています。完全無毒のフグを育てる上で重要なのが、完全に外洋から切り離した場所で養殖をすること。つまり海で生簀を作りその生簀内で養殖するだけでは、細菌を遮断することができない為、毒を完全になくすことができないのです。

今では陸上養殖といって海とはかけ離れた山奥などに養殖場を作り、完全無毒の養殖が各地で行われています。

フグにとって毒はなくてはならない物

フグはうまく毒を利用して生活しており、フグにとって毒はなくてはならない物だと言われています。

なんと、フグの特性を研究する段階で、無毒のフグより体に毒をもつ方が精神的な安定状態にあることがわかったそうです。

と言うのも、養殖する上で無毒のフグはストレスにより仲間同士の噛み合いが頻繁に起きていたそうで、その行動を研究する中で無毒のフグと有毒のフグを同じ水槽に入れると、無毒のフグが有毒のフグに噛みつくなど、毒を体内に取り込もうとする行動が確認されたとあります。

さらに、産卵時には雌フグから放出されるテトロドトキシンに雄フグが引き寄せられ、交尾が始まります。この事からテトロドトキシンがフェロモンの役割を担っていることがわかります。産卵後には卵を狙って近寄ってくる外敵から子供を守る防御機能ともなるそうです。

人を殺めることさえあるフグ毒ですが、フグにとっては子孫繁栄においてなくてはならない物であり、精神安定剤に似た効果も発揮するのです。

また、免疫力を高める為にわざとフグ毒を与える飼育試験なども行われているそうで、その結果も特性通り養殖フグのストレスが軽減し、より質の高いフグに育つことがわかったようです。

子煩悩と言うか、自分の身や子供を守るために必死なのがわかって少しほっこりしました。

かと言ってフグ毒が可愛い物になる訳ではありません。お気をつけください。

フグの種類および種類別の可食部位

よく食べられているトラフグであれば、筋肉、皮、精巣を食べることができますが、種類によっては皮や精巣にも毒があるので、フグは種類別に食べられる部分が決められています。

可食部分以外の部位である脳、エラ、目や内臓等は、食用として認められておりません。特に肝臓や卵巣は毒性が強いため危険です。(毒性には個体差、季節差があります)

フグの種類と可食部位を下の表にまとめました。

【フグの種類】【食べられる部位】
クサフグ筋肉
🔺コモンフグ筋肉
🔺ヒガンフグ筋肉
ショウサイフグ筋肉、精巣
マフグ筋肉、精巣
メフグ筋肉、精巣
アカメフグ筋肉、精巣
トラフグ筋肉、皮、精巣
カラス筋肉、皮、精巣
シマフグ筋肉、皮、精巣
ゴマフグ筋肉、精巣
カナフグ筋肉、皮、精巣
シロサバフグ筋肉、皮、精巣
クロサバフグ筋肉、皮、精巣
ヨリトフグ筋肉、皮、精巣
サンサイフグ筋肉
イシガキフグ筋肉、皮、精巣
ハリセンボン筋肉、皮、精巣
ヒトヅラハリセンボン筋肉、皮、精巣
ネズミフグ筋肉、皮、精巣
ハコフグ筋肉、精巣

都道府県によって可食が制限されている種類なども存在します。また、上記表の🔺の種類がついている物は都道府県によって制限がかけられている種類です。

ナシフグ肝臓、卵巣、皮は猛毒。
精巣、筋肉は無毒。
ナシフグは基本的には食用不可。
筋肉は有明海、橘湾、香川県、
および岡山県の瀬戸内海で漁獲
されたものに限り食用可。
精巣は有明海および橘湾で漁獲され、
長崎県が定める要領に基づき
処理されたものに限り食用可とされている。
🔺ヒガンフグ
🔺コモンフグ
岩手県越喜来湾及び、釜石湾
宮城県雄勝湾で漁獲されるコモンフグと
ヒガンフグは食用を禁じられている。

上の表では21種類のフグを可食できるフグとして紹介しましたが、日本近海には役40種類のフグが生息しており、その中には可食が認められていない種類もあります。(例:センニンフグ、キタマクラ、コモンダマシ等)

特にドクサバフグについては、筋肉・皮・精巣すべて有毒とされており、見た目がシロサバフグ及びクロサバフグに似ていることから誤ってたべてしまう事例も発生しているようです。また、交雑種のフグも存在します。親となるフグ両種の可食部位が食べてもよいとされておりますが、その特定はなかなか困難だそうです。

【危険】フグ毒について【テトロドトキシン】:まとめ

まとめとしまして、フグ毒の基本知識はこの4点を抑えておく必要があります。

  1. フグの種類によって毒性は異なり、部位ごとに毒の有無が分かれること。
  2. 特に卵巣と肝臓の毒性が強く、皮と腸がこれに次ぐこと。
  3. 猛毒と言われている血液は実際には無毒であること。
  4. 産卵による季節、個体の特性、生息地域等による差があること。

今回はフグの毒についてまとめてみましたが、毒に注意すれば本当に美味しい食材であり、古くから愛され続けてきた食材です。正しい知識を持ってフグ料理を楽しみましょう!

では。