どうも、ハマちゃんです。今回はアマダイについて解説していきます。
❶白甘鯛と赤甘鯛の違い
❷白甘鯛の生態と旬
❸白甘鯛がよく獲れる有名産地について
目次
【超高級魚】白甘鯛の生態や同属との違いを解説【寿司】
今回は「アマダイ」の中でも「白甘鯛」に着目して解説したいと思います。
アマダイは黄、赤、白と3種類に区別されて流通しています。その中でも白甘鯛はその名の通り魚体が白い事が大きな特徴です。
通常よく出回るアマダイは圧倒的に「赤」が多く、「黄」は需要があまりないのか見かけることはほとんどありません。「白」は旬の時期になるとこぞって高級料亭、高級寿司屋が買い求めるほど超高級魚として扱われています。
なぜそこまで高級魚として確立されているのか、色の違いで生態の違いがどうあるのかなどを調べてみました。
白甘鯛と赤甘鯛の違い
まずは「白甘鯛」と「赤甘鯛」にどんな違いがあるのか。ひとまず写真を見てください。
白甘鯛
こちらの方の投稿の上の写真が白甘鯛、下の画像が赤甘鯛です。
大きさに違いがある為、比較材料としては少し大雑把ではありますが、明らかに小顔で魚体の膨らみ方が違います。
白甘鯛は他の2種に比べ、身に弾力があり、脂が乗っています。もともと味の良いアマダイに、さらに芳醇な脂と歯ごたえが加わることが超高級品として扱われている理由です。
赤甘鯛
赤甘鯛も白身魚の中ではわりと高級魚の部類にあたり、味がいいとされていますが比較対象が白甘鯛になると影をひそめてしまいます。
名前に「甘」という名が使われる通り、身に甘みのある魚です。
赤甘鯛としての有名な産地としてあげられるのは山口県で、次いで長崎県、島根県、福井県などです。お分かりの通り山陰から北陸にかけての日本海沿岸でたくさん漁獲されております。
福井県若狭町では「若狭ぐじ」の名でブランド化されており、贈り物やお祝いなどで珍重されています。
また、静岡県では別名「興津鯛(おきつだい)」の名で呼ばれることがあります。それは江戸時代に大奥の女中である「興津の局(おきつのつぼね)」が献上したアマダイを徳川家康が気に入り、その女中の名から「興津鯛」と呼ばれるようになったと言われております。
ただ、、ストーリーにも諸説あるようです。
その角張った頭の形の特徴、屈折した頭を持つ魚という事から「屈頭魚(くつな)」と呼ばれ、それがなまって「くじ」、「ぐじ」になったといわれております。
ー興津の局(おきつのつぼね)ー
「局」とは宮中や貴人の邸宅で、そこで働く女性の居室として仕切った部屋のことを指し、その部屋を与えられた身分の高い女中の事を「局」と言います。
旬の違い
旬については若干の違いがありそうです。
赤甘鯛の漁獲が盛んになる時期は8月〜12月ぐらいとされていますが、年間を通して市場に出回ってます。産卵期が9月〜12月とされている為、栄養を欲して活動が活発になるのかもしれません。ちなみに産卵は巣穴から離れた場所で行われるようです。
一方、白甘鯛の旬は11月〜2月頃とされています。
確かにこの時期、大型の白甘鯛を扱う魚屋が多い気がしますし、僕たちのような寿司屋もこの時期多くの高級店が大型の白甘鯛を求めて仕入れを行います。
僕の考察ではありますが、アマダイ属の両者はそれほど活発に回遊する魚ではなく海底に穴を掘ってのんびりハンティングをするような魚ですので、時期的な物よりどれくらい生きているかが美味しさに繋がっているのではないかと思います。
もちろんその時期によってその魚が食べるエサが変わってくるのでなんとも言えませんが、魚体の小さい甘鯛より大きい甘鯛の方が確実に身質も味も良いです。
性転換する
また、大きな特徴として甘鯛は「性転換」する魚の1種だそうで、大きい魚体のほとんどがオスです。これは「雌性先熟(しせいせんじゅく)」と言う生存競争を乗り越え、子孫繁栄をより効率よく行う為の特徴です。
主に一夫多妻制で生活する生き物に多く見られる特徴で、この場合大きなオスがたくさんのメスを独占してしまうので、小さなオスはなかなかうまく子孫を残すことができません。
そこで、体が小さなうちはメスとして卵を産み、大きくなってから性転換をしてオスになるのです。
要するに、小さい甘鯛は卵を産む為に卵に栄養を持っていかれますが、ある程度大きくなればその必要がなくなる為どんどん身質も良くなっていくのではないかと思っています。
もちろん海水温の冷たい時期の方が、身が引き締まっているなどの色んな要素も考慮して考えるべきではありますが、アマダイ属の両者は旬のシーズンというよりは魚体の大きさが物をいうのではないかと思います。
生態の違い
両者の生態の違いで多くあげられるのが、生息海域の違いです。
白甘鯛はアマダイ属の中でも1番浅い海域(20〜50mぐらい)に棲息し、大きさも50〜60cmと1番大きく成長します。一方、赤甘鯛はもっと深い海域(50〜100m)を好み、棲息しています。成魚になると白甘鯛には少し劣りますが、40cmぐらいまでになります。
分布にも違いがあり、赤甘鯛の産地としてよく知られるのは日本海沿岸の各地域ですが、白甘鯛は日本海にはあまり棲息しておらず、主に西日本の九州西岸・東シナ海沿岸、瀬戸内海などが主な分布地域になります。
日中は巣穴の周りでエビやカニ・貝や小魚などを捕食し、夜間は巣穴に潜る生活を送り成長します。
白甘鯛の名産地
おそらく全国で見ても1番と言える名産地が愛媛県の八幡浜かと思われます。
僕自身仕入れに行くと大体、愛媛県産の白甘鯛が並んでいます。
愛媛県八幡浜市(やわたはまし)は、愛媛県西端に細長く続く佐田岬半島の付け根に位置し、北に行けば伊予灘に面し、西に行けば宇和海に面しています。黒潮が流れ込む海岸部は、ノコギリのようなリアス式海岸が続き温暖で自然豊かな地域です。
【超高級魚】白甘鯛の生態や同属との違いを解説【寿司】:まとめ
今回は超高級魚「中深海の貴婦人」とも呼ばれるアマダイ属の白甘鯛について解説しました。
寿司としても、刺身でも、煮付けでも、鍋にしても、出汁をとっても何をしても美味しい甘鯛。ぜひ一度召し上がってみてくださいね!!
ちなみに釣り人からは釣り人生の内、1度釣れるか釣れないかと言われるほど貴重な魚らしいです。僕たちはよく市場で見かけるので、当たり前の存在になってますが、改めて貴重な食材であることが認識できました。
では、この辺で。