【簡単】寿司と鮨と鮓の違い【猿でもわかる】

豆知識



悩む人
“すし”の字はいくつか種類がありますが違いがわかりません。
違いや使い方を教えてください。

どうも、ハマちゃんです。今日は寿司、鮨、鮓、SUSHI。それぞれの違いや使い方について解説します。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶寿司と鮨と鮓の違い
❷それぞれの字の語源

寿司と鮨と鮓の違い

今回は寿司と鮨と鮓の違いについて解説します。

皆さんは『すし』を漢字に変換する時にどんな字を使いますか?

普通の人は『寿司』とお答えするのではないでしょうか。僕も日常的にTwitterや、ブログで発信する時は寿司と表記します。

しかし巷の寿司屋さんに行くと〇〇〇』鮨処〇〇〇』〇〇〇』などといった寿司ではない漢字を使って『すし』と読ませるお店がたくさんあります。

ではなぜこのように『すし』は『すし』でも色んな『すし』があるのか。気になりますよね。今日はその色んな『すし』についてまとめてみます。

『すし』の始まりは『鮓』

寿司と鮨と鮓の違いを結論からお話しすると、『すし』の始まりは『鮓』だと言われています。

歴史的に順番で言うと 鮓→鮨→寿司→SUSHI

『すし』には乳酸を主たる酸味成分とする『すしと、酢酸を主たる酸味成分とする『すし』がある。

前者は馴れずし(熟鮓)等と、後者は早ずしと分類されます。

その昔『すし』と言えば馴れずし(熟鮓)。

つまり米を使って発酵させ保存食に仕上げた加工品のことを指していました。まだ冷蔵庫が開発されるはるか前の時代に、魚を塩と米で長期間熟成させ、乳酸発酵させた食品を馴れずしと読んでいたとされています。

ー要点ー
馴れずしと言われる大昔の寿司が寿司の始まり。
馴れずしはお米を発酵させる為、お米の形状は無くなる。
その発酵させたお米は食用しない為、現代の寿司とは全く別物です。

馴れずし(熟鮓)は鮓

この馴れずしには『鮓の字が使われています。

現代の寿司とは全く別物ですが、『すし』の始まりはこの“鮓”からなのです。

現代にもその名残から日本各地に馴れずしが郷土料理として残っています。

ー豆知識ー
平安時代の“すし”はこの乳酸発酵によりとても臭かったらしいのです。
鮓売りの女が酔い潰れて、売り物の鮓桶の中に嘔吐してしまったので、慌ててかき混ぜて誤魔化したと『今昔物語集』に記述がある程です。
嘔吐物を混ぜても気が付かない程、臭いが強い。
それはやばい。

馴れずしと、早ずしの違い

前述しましたように、馴れずしはお米を長期熟成させ乳酸発酵させたもの。

乳酸を主たる酸味成分として用いた『すし』のこと。

早ずしには『寿司』、『鮨』

それに対して早ずしはお酢を用いて酢酸を主たる酸味成分として用いた『すし』のこと。

1600年代後半にようやく酢の醸造技術も進み始め『すし』に酢が使われるようになった。

その頃から馴れずしのように発酵するのを待つ事なく、酢で酸味を得て食する『すし』早ずしが誕生したとされています。早ずしは江戸前寿司を代表とする寿司の一種です。酢飯と寿司タネを使用し、江戸を中心に爆発的に広まったとされています。

この早ずしには『鮨』『寿司』が使われることが多いです。

ー要点ー
違いは歴然で、馴れずしは酢が使われることのない『すし』で早ずしは酢を用いて作られる『すし』のこと。

このように『すし』は『すし』でも全くの別物が存在します。その為、それに伴う形で漢字も違いが出てきたのかもしれません。

結局の所、鮓なの?鮨なの?寿司なの??

さて、色々と脱線しながら解説してきましたが結局どれが正解か。

正直に申せば、正解はないかもしれません。

馴れずしには『鮓』が、早ずしが主流になってきた頃には『鮨』が使われてきましたが、厳密に使い分けられていることもないのです。

あくまで僕の考察ですが、昔は流行が一気に広まることもなく江戸で流行ったものが徐々に地方に広まっていったのだと思います。江戸で“鮨”が使い始められても、それが地方に浸透するにはかなりの時間がかかったでしょう。浸透せず“鮓”を使い続けた人もいたかもしれません。

実際に江戸では“鮨”、大阪では“鮓”の字が使われる事が多かったようです。

「魚に旨いと書いて鮨

強いて言うなら“鮨”の場合、魚に旨いと書いて鮨と読みます。

これは現代においてはお店の自信の現れであったり、江戸前寿司ならではの江戸前技法を用いて魚を旨くすると言う意味合いも込められているのではないかと思います。

僕自身も一般の方々に親しみを込めて“寿司”を多用しますが、ここぞと言う場面では“鮨”を使います。

それは寿司職人の中でも、江戸前寿司の職人である事に誇りを持っているからです。

「寿を司ると書いて寿司」

では、皆さんにも馴染み深い“寿司”はと言うと、始まりは朝廷へ献上する事を考慮して使われるようになったとされています。

縁起のいい2文字を組み合わせた当て字です。

江戸時代に考案され、明治に入ってから定着してきた造語であるとされています。

寿は良い事や長い命を意味し司るは象徴すると言う意味です。つまり寿を司っているから寿司を食べると良いことがあったり、長生きできたりするよと言う意味の験担ぎです。

寿司職人の僕はこう使い分ける

参考までに僕の使い分け方を紹介します。

熟鮓や、乳酸発酵を用いて作られる郷土料理などに使用しますが、ほぼ使いません。
※この字を使っている寿司屋さんに話を聞いてみるのも良いと思います。

鮓とは対照的に酢酸(酢)も用いて作られる寿司。

又、字の如く魚を旨くする江戸前技法を用いた寿司の事さす時に使用します。

寿司

魚を用いた寿司に限らず、創作寿司、巻き寿司、稲荷寿司等オールラウンドに使用します。
1番世間に馴染み深い為、このブログではこの寿司をよく使います。

最後に

現代では寿司が世界中に認知され、日本と言えば寿司と連想する外国人がいるほどまでに世界中でお寿司が人気になっています。

寿司が世界のSUSHIになっています。

色んなSUSHIがありふれている世界に本当の寿司文化を届けるような旅ができたらな〜とか言う夢を語って終わりにします。

寿司最高。